習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?

新学期や進級・進学時に、習い事を始める方も多いと思います。日本では子ども向けの習い事教室が40〜50種類あると言われており、下表にあるように4つの系統に分けることができます。

運動系 学習系 文化・伝統系 芸術系

・水泳
・野球
・サッカー
・ラグビー
・ミニバス
・ダンス
・バレエ
・ジャズダンス
・チアリーディング
・体操
 …

・学習塾
・そろばん
・英会話
・実験教室
・プログラミング
・通信教育
 …
・将棋
・囲碁
・かるた
・書道
・華道
・茶道
 …
・ピアノ
・エレクトーン
・バイオリン
・ギター
・絵画教室
・造形・工作教室
・ボイトレ・合唱
 …

 

また2021年2月にインターネットで「カジナビ」が行った保護者のアンケート調査によると、7歳以上の約9割の子どもが何らかの習い事をしているとのこと。

この記事では、習い事の意義や習い事を選ぶポイント、続けていくためのヒントなどをお伝えします。子どもの習い事だけでなく、部活や趣味の活動などにも役立つ内容になっています。ぜひお読みください。

もくじ
1: 習い事をする理由・意義とは?
2: 習い事を選ぶときのポイント
3: 習い事を続けるために知っておくと良いこととは?
4: おわりに

1: 習い事をする理由・意義とは?

先述した「カジナビ」の保護者アンケートでは、子どもが習い事をする理由について
 1位「子どもがやりたがったから」
 2位「子どもの将来のため」
 3位「苦手の克服」
という回答が得られたそうです。

子どもの興味・関心に応じて、そして将来のために何らかのスキルを効果的に身につけさせたいという理由から、習い事に通っているわけです。また

 ・学校で対応していないスキルを学ぶことができる

というのも大きな理由であり、近年はプログラミング・コーディングやさまざまな体験教室なども習い事として人気があります。

「学校で対応していないスキル」の1つであるアントレプレナーシップとその教育についても下記リンク先から詳しく読めます:

習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
また2021年2月にインターネットで「カジナビ」が行った保護者のアンケート調査によると、7歳以上の約9割の子どもが何らかの習い事をしているとのこと。 この記事で.....

習い事の意義については、米国で34年にわたりプレスクールや学童保育を提供しているKids ‘R’ kids Learning Academyのリサーチによると、下記6点などが挙げられるとのことです。(*1)

1. ライフスキル(生活力)を育む:個人・チームやグループでの活動等を通して、身体の使い方・器用さや精神的な強さ、協力しあうスキルを伸ばす

2. 社会的・社交的スキルを身につける:習い事ではお友達や先生など様々な人との交流を通して、支援しあうことや他人を尊重することを学ぶことになる。また自分がグループに所属しているという気持ちをもち、インクルーシブな環境に身を置いていることを実感することもある

3. 学力の手助けとなる:学習塾・放課後教室などでは宿題や家庭学習のサポートを行っており、1人で/家で学習に取り組みづらい子どもに対応・支援することができる

4. 興味や才能に気づく:学習だけでなく芸術・音楽・スポーツなど様々な活動に触れることで、家庭・学校にいるだけでは気づかなかった興味や才能に気づく機会となる

5. 体力づくり・健康に寄与する:スポーツなどを通して習い事で身体を動かす場合、その習慣が身体に好影響を与え、体力がつき、より健康になる

6. 自信がつく:習い事の中で小さなチャレンジをし、少しずつスキルを身につけられることで、よりポジティブなリスクを取れるようになったり、新しいことに挑戦できるようになったりする

習い事を選ぶ・始める際に、習い事をすることでどんな意義があるのか、上記などを参考に家族で話し合っておくのも良いと思います。

2: 習い事を選ぶときのポイント

習い事をする意義の他に、習い事を始める際にどんなことを考えておくと良いかについても、お伝えします。

教育ジャーナリストの おおたとしまさ さんは、「4象限」で考えることで、必要な習い事を絞り込み、子どもの時間を必要以上に習い事に当てないこと・家族や子ども1人で過ごす時間を確保することを推奨しています。(*2)

「4象限」とは下記のように、スポーツかスポーツ以外の習い事なのか、集団でやるまたは個人でやる習い事なのかについて考えてみて、2つ以上の習い事に取り組む場合は対極のものや違う象限にはまるものを選ぶようにする、という考え方です。

これにより、子どもにとってバランスの良い体験をさせることができるとおおたさんは主張されています。

また子どもの環境全体で考えてみることも大事とのことです。例えば

遊びなどで集団で身体を動かす(スポーツ系)ことが確保されている場合などは、習い事はスポーツ以外(文化系)で個人のものを選ぶ

ひとり遊びが好きで個人で絵を描く(文化系)時間が多い場合などは、習い事はスポーツ系で集団で活動するものを選ぶ

など、子どもの1日や1週間の過ごし方をみた上で、習い事を考えてみるのも良いでしょう。

他にも子どものモチベーションやクラスの様子も含めた学習・活動環境通いやすさなども大切です。保護者にとっても子どもにとっても納得できる習い事選びをしていただけたらと思います。

モチベーションの維持の仕方についてはこちらをお読みください:

習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
また2021年2月にインターネットで「カジナビ」が行った保護者のアンケート調査によると、7歳以上の約9割の子どもが何らかの習い事をしているとのこと。 この記事で.....

3: 習い事を続けるために知っておくと良いこととは?

習い事を始めて3か月〜半年ほどは、新しい環境に刺激を受け、楽しい気持ちで通うことができるでしょう。しかしいつの間にかモチベーションが下がってしまうことや、うまく行かずに辞めたくなる時もあります。そんな時に知っておくと良いポイントについて2点お伝えします。

■ 習い事を続けるときに知っておきたい「10歳の壁」

「10歳の壁」とは、個人差はあるものの、10歳前後に子どもが「具体的思考から抽象的思考へとシフトしていく」際に生じる葛藤やスランプのような気持ちに陥ることです。

発達心理学では、10歳前後の発達における大きな変化として以下3つの点などを挙げています。

・思考の質的変化により行動が変わる
小学校低学年では周りの友達や先生との具体的なやりとりをしているだけですが、10歳ごろになると「上達」といった抽象的な概念を理解しはじめ、上達するとはどういうことなのか、どのくらいの成果が必要なのかといったことまで考え行動しはじめます。また次の点にも繋がりますが、そういったことを考える際に周りを気にしすぎてしまい、モチベーションが下がることがあります。

・自信喪失・物事に対してやる気がなくなる
幼児期〜小学校低学年の時は「自分は何でもできる」という万能感を持ちやすいのですが、学年が上がるにつれ、周りの友だちと自分を比較して「自分はそこまでできない」と感じて自信を失う・劣等感を抱くことが多くなります。

・保護者の言葉を素直に受け止められなくなる
「がんばっているね」「上手だね」といった親からの言葉に対しても、上述したような「自分は周りに比べてできるわけではない」という気持ちが先立ち、素直に受け止めにくくなります。

こういった点はマイナスにも見えますが、自分を客観視し振り返って成長を促すための変化でもあります。

この「10歳の壁」に対して、保護者ができる効果的な対応の例を3つ挙げます。
・子どもが自信を失いすぎたり必要以上にやる気を失うことがないよう、見守り励ます
・保護者からみた子どもの成長や変化を伝える
・悩んでいる時の話し相手になり悩みを受け止める・一緒に解決する

ぜひ下述する振り返りと併せて対応してみてください。

■ 記録と振り返りを通じて自分の成長に気づく

子どもが自分でできることや保護者と一緒にやると良いこととしては、習ったことを定期的に振り返り、それを記録することがあげられます。

女子スピードスケート日本代表で先日の平昌オリンピック1000m金メダルを獲得された高木美帆選手は「練習メモ」と呼ばれるノートを何冊も書き綴っており、練習中に何か気づきがあれば記録をしているそうです。(*3)

目標や課題を書き、それに対してどんな練習をしていくかを考え記すことで、いくつものスランプや課題を乗り越えてきたとのこと。

ぜひ学期の区切りなどで振り返りを行い、記録を読み返すことで成長を実感し、次の活動につなげてもらえたらと思います。

また逆説的になりますが「続ける」ことだけが良いこととは限りません。振り返りをした上で他に自分に必要なことがわかれば、そちらに時間を使うのも、良い判断となるかもしれません。

振り返りについて、こちらの記事もご参考ください:

習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
習い事:意義とは?選ぶポイントは?楽しく続けるには?
また2021年2月にインターネットで「カジナビ」が行った保護者のアンケート調査によると、7歳以上の約9割の子どもが何らかの習い事をしているとのこと。 この記事で.....

4: おわりに

習い事では、上述したこと以外でも、新しい友人やロールモデルを得たりなど様々な意義があると思います。学校だけでない「居場所」としての習い事も、人によっては大切な意義になるでしょう。

また日本だと数年間にわたって習い事をすることが多く、その中で様々な非認知能力やスキルを高めることにも繋がっています。

ぜひ先述したような振り返りや記録を活用して、習い事での経験をご自身・ご家族での学びや成長につなげてもらえたらと思います。

◆参考リソース:

*1: 放課後活動の意義(英語) – Kids ‘R’ Kids Learning Academy  https://kidsrkids.com/circa-fishhawk/after-school-program/the-benefits-of-before-and-after-school-programs-for-young-children/

*2: 本当に必要な「習い事」の選び方 おおたとしまささんに聞く – 朝日新聞 EduA https://www.asahi.com/edua/article/12895218

*3:高木美帆はなぜ覚醒したのか 歴史を塗り替えたスピードスケート界の新女王 – 産経新聞https://www.sankei.com/article/20180314-TICDLKNR6RJYZKRINRVPOTHMTQ/