マインドフルネス瞑想とは?具体的なやり方・方法と企業も注目するストレス等への効果

「同僚や友人と対立してしまった」
「作業を進めなくてはいけないのに集中できない」
「みんなの前で発表するのは緊張する」

日常的に物事が思い通りに進まず、ストレスを感じる場面はたくさん存在します。またスマホ、ゲーム、インターネット等により、情報が溢れかえっている中で多くのことに触れられる反面、一つのことにしっかりと集中することが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

そのような現代社会で注目を受けているのは脳科学をはじめ、多様な分野でストレス軽減や集中力の向上に効果があると実証的研究報告が発表されているのが「マインドフルネス」です。その効果を求めて、既に世界の有名校やトップ企業はマインドフルネスを自らのプログラムに取り入れています。

今回のブログではマインドフルネスとは何なのか?そしてマインドフルネスの効果や実践方法などをご紹介します。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスとは「集中すること」「気づき」等、たくさんの類義語を使って説明されることがありますが、一つの定義としては「意識的に注意を向けること」が挙げられます。
 
マインドフルネスとは、意識的に自分の注意を目の前にあることや状況に向けることを指しています。今、この瞬間、この場に意識を向ける状態やそのプロセスを総じてマインドフルネスと呼ぶことが多いです。
 
マインドフルネスを取り入れることで雑念、ストレスに妨げられず、より意識的に目の前にある状況や状態に集中することが可能です。ストレスを感じる場面でも、マインドフルネスを上手に活用すれば、まず自分がストレスを感じている状態にいることを意識することができ、次の行動を冷静に選ぶことができます。
 
米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)のマインドフルネスセンターの創設所長であるジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)がマインドフルネスを取り入れたプログラム(マインドフルネスストレス低減法:Mindfulness-based stress reduction)を医療分野に取り入れたことでマインドフルネスが世界に広がるきっかけを作りました。
カラフルな脳を表した画像
 

マインドフルネスの重要な要素:

マインドフルネスを実践する方法や定義に関しては様々な考え方が存在します。また中にはマインドフルネスの効果のみに集中し、誤った印象を与えている定義を目にすることも多々あります。 では、実際の様々な方法が存在するマインドフルネスですが、大切な要素は下記の2点になります。

1)そのままを受け入れる

マインドフルネスを行う上ではありのままの状況を観察し、不要な判断や評価を一切行わずに受け入れることが大切です。

私たちは日々たくさんのものに触れ、たくさんの思いや考えを巡らせています。ほとんどの思考が自動に行われており、自分が勝手に解釈していることや瞬時に判断を下していることが多いです。または一つの出来事から関連したものを連想し、雑念に追われて、漠然とした不安にも繋がります。例えば、部屋で作業をしている際に時計が目に入り、夕方の用事を思い出してまだ先の話なのに焦ってしまったりすることもあるのではないでしょうか。

自分や周りの出来事に判断を下すこと(良い・悪い等の評価)に紐づく形で不安や心配事や苛立ちなどを増やしてしまっています。自動的に判断を行うことによって物事を客観的に捉えることが難しくなってしまいます。

マインドフルネスでは自分の頭の中に浮かび上がった思考や感情に対して、判断を行わず、受け入れることが大切です。自分の中でそのような思考や感情があることを認識し、それを正確に把握することによってより適切な対応を実行できると考えられています。

2)「今、この瞬間」に意識的に注意を向ける

上記で紹介したそのままを受け入れるにもつながっているのですが、私たちの思考は自動的に様々なことを連想してしまいます。目の前で起きている状況に対して、過去の経験について考えたり、未来のことを想像したりすることも多くあるのではないでしょうか。

過去や未来のことばかりに気を取られてしまうと、目の前で起きている状況に適切な対処ができなくなてしまいます。今、この瞬間に意識的に注意を向けることで洞察力が高まり、勝手な判断や連想をしないため漠然とした不安などに捉われることも低減できると言われています。

マインドフルネスを理解するための脳の仕組み:

マインドフルネスの効力を理解するにはまず脳の仕組みを学ぶことが重要です。 人間の脳には新しいことや慣れていないことに対し、不安や緊張感を感じさせる機能が備わっています。その仕組みによって友人や他者との異なる意見や新しい環境やチャレンジに対して抵抗する傾向があります。
 
このような脳の仕組みをまず知ることで自らの思考回路をより深く理解できます。 マインドフルネスを取り入れ、今まで意識を当てていなかった思い込み、癖や感情の起伏、また反射的に行ってしまう行動に気付けます。自分の状況を把握する機会を増やすことで、自らの思考や行動パターンをより冷静かつ明確に把握することが可能となります。
 
今までの自分の思考回路や反射的な行動パターンを把握することで、条件反射的に行動するのではなく、一歩間を作ることができます。一歩間を置いた上で、目の前にある状況に集中することで、より建設的で柔軟な考え方に自ら切り替えることが自由に選択できます。 マインドフルネスを取り入れ、繰り返し実践することで反射的な行動や感情に振り回されず、日常的に現れる課題にも柔軟に対応することが誰でも可能となります。

マインドフルネスの効果:研究結果から見えてきた効果

脳科学を始め、多様な分野でマインドフルネスの研究が行われています。たくさんの研究を通じて集中力の増加、ストレスの減少などが発表されてきました。今までは仕事に取り組んでいる大人を対象にした研究が多かった状況ですが、近年は学校に通っている生徒に対する効果を示している研究結果も発表されています。中には学校の成績へも好影響等を与えていると発表されています。

効果①:集中力の向上、感情のコントロール上昇

2015年にUniversity of British Columbiaが20の研究のメタ分析を行ったところ、マインドフルネスに8週間取り組んだ参加者は雑念に振舞わされず、集中力を持って、自らの感情をより上手く管理していることが見受けられた。その結果、マインドフルネスに取り組まなかったコントロールグループに比べてより適切な決断を下していることも観察されました。

効果②:脳内での変化、免疫力の向上:

上記で紹介されたジョン・カバットジン教授が行った研究の一つでは、8週間にわたるマインドフルネスのプログラムに取り組んだ参加者は脳内の構造の変化が見られただけではなく、免疫力に関しても向上が見受けられました

効果③:学校の成績向上

テキサス大学とオレゴン大学が発表した共同研究の結果では、短期的なマインドフルネス・プログラムに取り組んだ13〜18歳の生徒において、感情の自己管理力、集中力および成績の向上が観察されました。マインドフルネスプログラムを行わなかった他のグループでは同じような改善は確認出来ませんでした。また、マインドフルネスプログラムに取り組んだ生徒は文学、数学、第二言語の成績で明らかな向上が見受けられました。 マインドフルネスの研究の多くはまだ初段階にあるため、研究者は今後も更なる研究が必要であると言及していますが、ストレス低減や集中力の向上、感情のコントロールや教育現場等を対象とした研究が世界中で進む中、今後も好影響を証明する研究結果が発表されることに期待が高まっています。

マインドフルネスを導入している企業

上記のようなマインドフルネスがもたらす自己管理力や集中力の向上の効果はすでに膨大な研究結果や実例が確認されています。それらをもとに多くの企業や教育機関が効力を求めて自らのプログラムにマインドフルネスを取り入れています。 有名な企業としてGoogleやApple等が挙げられます。それぞれがどのように企業として取り組んでいるのかをご紹介します。

Googleの取り組み:

Googleは社内で大々的にマインドフルネスと取り入れている企業としてとても有名です。マインドフルネス瞑想を取り入れたプログラムとしてSearch Inside Yourselfという数週間にわたる社内研修を行っています。2007年以来に行われているプログラムはの詳細はプログラム名と同名の書籍で詳細が紹介されています。 Google内で多くの方に支持された同プログラムはSAP、アメリカン・エキスプレス、LinkedInなど他の企業や大学にも採用されています。

Appleの取り組み:

Googleと同様にシリコンバレーでマインドフルネスを取り入れているのはAppleです。創設者のスティーブ・ジョブス氏は熱心的に瞑想に取り組んでました。大事なイベントやプレゼンの前にはマインドフルネスを行ってから取り組んでいたとも言われています。 Appleでは社内で一日30分の瞑想を行うことが許可されており、社内に瞑想ルームを完備して社員が瞑想に取り組みやすい仕組みを作っています。

マインドフルネス瞑想のやり方・実践する方法

マインドフルネス瞑想を実践する方法はたくさんありますが、その中で一つ呼吸に意識を向ける方法を紹介したいと思います。

ステップ1:テレビや音楽、携帯電話などの電源を消して、静かに集中しやすい状況を作ってください。

ステップ2:足を組んだりせず椅子に座り、スリッパなどをはかずに両足が地面についている状況を作ってください。座ってから、背もたれには寄り掛からず一度背筋を伸ばしてから少し力を抜いて座ってください。

ステップ3:呼吸は特に深呼吸などはせず、いつも通りの呼吸を続けてください。意識を集中されることを練習するために急に呼吸を意識せず、体に意識を向けながら最終的に呼吸へ意識を向けていきます。まずは自分の足の裏に意識を向けてください。足の裏で感じる床・地面はどのような感触ですか?硬く感じます?柔らかく感じますか?冷たいですか、暖かいですか?

ステップ4:意識を足の裏から徐々に上へと上げていきます。膝辺りに意識を向けてください。座っている中でも膝はどのような動きをしていますか?じっとしていますか?少し揺らいでいますか?

ステップ5:椅子と接しているふとももの裏側に意識を向けてください。椅子はどのように感じますか?硬く感じます?柔らかく感じますか?冷たいですか、暖かいですか?

ステップ6:さらに上へと意識を運び、自分のお腹あたりに意識を動かしてください。息を吸う時にお腹が膨れ上がり、息を吐く時にお腹がへこんでいくのを感じてください。

ステップ7:意識を上へと持っていき、胸あたりに意識を運んでください。息を吸うと胸が膨れ上がり、息を吐くと胸が降りていくのを感じてください。

ステップ8:意識をさらに上へと持っていき、自分の鼻、口あたりに意識を向けてください。息を吸う時に鼻を通っていくこと、息を吐く時鼻や口から息が出ていくのを感じてみてください。

ステップ9:自分が上記を行った上で呼吸をもっとも感じられた部分に意識を向けてください。お腹の人もいれば、胸あたりの人もいれば鼻で感じられる方もいると思います。

ステップ10:もっとも自分が呼吸を感じられる場所に意識を動かし、その場所で呼吸に意識を続けて向かわせてください。

ステップ11意識を呼吸に向けている間にたくさんの思考や観察が頭の中で浮かび上がってくると思います。「本当にできているのかな?」「これが効果あるのかな?」「外の車の音が聞こえてきたな」「そういえばメール返さないといけないな」などたくさんの思考が浮かぶと思います。その思考が浮かんできたら、その思考を一度受け止めて、自分の意識を呼吸を戻すことを行ってください。

ステップ4-9は各ステップで4-5回呼吸を行うイメージで試してください。ステップ10-11は数分かけて挑戦してみてください。初めて行う行動は上手くいかないのが当たり前です。

マインドフルネス瞑想も最初はうまくできない、集中できないのが当たり前

初めて上記を行って意識を向けることができていない自分がいても安心してください。それはとても自然なことです。
 
慣れていけば最後のステップ10-11の時間を数分から数十分などにどんどん伸ばして自分の集中力やありのままの思考や考えを受け入れることを試してみてください。
 
今回のブログではマインドフルネスを紐解いていきましたが、自己管理力や集中力の向上に加え、教育業界では生徒の成績への好影響も確認されたことで、今後もマインドフルネスを取り入れる動きはさらに加速することに期待が高まっています。

*“Orange and Blue Brain Anatomy Hoop Art. Hand Embroidered.” is copyright (c) 2013 Hey Paul Studios and made available under a Attribution 2.0 Generic license