世界に貢献する仕事がしたい

福井里佳
岐阜県可児市出身。一橋大学社会学部卒。三井住友信託銀行入行後、5年間企業年金制度業務に従事。その後、松下政経塾に37期生として入塾。在塾期間中には、「国際協力、女性支援」をテーマに研究を行い、Support for Woman’s Happinessの事務局長(現在は理事)に就任。ラオスでは手毬アクセサリー、石鹸、ボディオイルなどの製品開発、製造指導、マーケティング等を行う。現在は、ラオスでの現場経験から「教育」の大切さを痛感し、一般財団法人活育教育財団のプロジェクトマネージャーとして、中高生向けのキャンプ・アフタースクール・教員向け研修などの事業を推進中。

Katsuiku Academy スタッフ インタビュー②【福井里佳】

今回はKatsuiku Academyのプロジェクトマネージャーである福井里佳さんにインタビューをしました。中学校の総合学習の時間に国際協力について知り、そこからどのように活動を広げられてきたのか、西水美恵子氏との出会い、松下政経塾やラオスでの活動を中心にお話を伺いました。

ーKatsuiku Academyでは現在どのようなことに取り組んでいますか?

福井:現在は中高生向けのキャンプ事業や、ブログ記事の執筆、リサーチ業務を担当しています。自身のイキイキを追及しながら、どのように社会とともに共生できるのかを模索しています。

中学生の時に知った世界の現状 ー 貧困・女性の問題ー

ーKatsuiku Academyではそれぞれがイキイキを追求する上で、それぞれが持っている価値観やストーリーを大切にしていますが、福井さんのストーリーを聞かせてください。

福井:私は何度か転校を経験しているのですが、小学5年生の時に岐阜県可児市に移り住み、高校生まで過ごしました。

私が通っていた中部中学校では総合学習(総合的な学習の時間)がちょうど導入されたばかりで、生徒たちが自発的に学習を行う時間を持つことができました。

この総合学習の時間が本当に楽しくてイキイキしていた瞬間ですね。

総合学習の時間はいくつかの分野に分かれており、生徒たちが学びたい分野を選択して、自由にテーマを決めて探究することになっていました。例えば、農業、動物愛護、水道、ゴミ問題、などです。

当時の私は「世界ウルルン滞在記」や「世界ふしぎ発見!」などのテレビ番組が大好きで、世界の歴史や文化について学んでみたいと思っていたので、「国際」という分野を選びました。

ただどのようなテーマで1年勉強するか迷っていたので、中学校の図書館にある「国際分野」の棚で手当たり次第に色々な本を読み漁りました。

その時、心を揺さぶられたテーマが「女性」と「貧困」でした。

当時の私には想像もできなかった悲惨な状況が、この世界で起きているという事実に衝撃を受けたんです。

「なぜこのような問題が起きているのか?」

「どうしたら解決することができるのか?」

私の中で大きな問いが生まれた瞬間でした。

私は1年間、貧困、紛争、地雷問題、女性差別等の題材を選び学びました。また、学ぶだけではなく、自身の学んだことをまとめて、全校生徒の前で発表する機会を得ることができました。

この体験が今の私の原点になっています。

学びの意義を深めるリフレクション(振り返り)について、下記リンク先で詳しく確認できます。

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Katsuiku Academy スタッフ インタビュー②【福井里佳】 ーKatsuiku Academyでは現在どのようなことに取り組んでいますか? 福井:現.....

世界で起きている問題の本質的な解決策を考える

その後、ご自身の人生に影響を与えた方はいらっしゃいますか?

福井:元・世界銀行副総裁の西水美恵子さんです。

私はその後、大学で東アフリカの女性の問題について研究していました。ただ大学を卒業した後、自分に何のスキルもない状況で社会に貢献ができるとは思えませんでした。自信がなかったんですね。

父と母が金融関係の仕事に就いていたこともあり、銀行員になり、金融という観点から何か国際貢献ができればと思い、三井住友信託銀行に入社を決めました。

銀行員になった後も、色々な分野のセミナーに行ったり、イベントに参加していたのですが、その時に出会った方から「国際協力に興味があるならこの記事を読んだらいいよ!」と進められたのが、「それはまるで、ダンスのように。」という糸井重里さんによる西水さんのインタビュー記事でした。

「すごい!!こんな素敵な女性が世界で活躍しているんだ。」と心がワクワクした瞬間でした。

そこから西水さんの本「国をつくるという仕事」を通勤中に読み、人目を憚らず電車の中で号泣したのを今でも覚えています笑

西水美恵子氏の影響でどのような変化が起きたのでしょうか?

福井:西水さんの本の中に、貧困の原因は「悪統治」という言葉があったんですね。つまり、「政治」です。

今までの私は、政治というものに全く興味がなく、遠い存在のものだと思っていました。

選挙で誰に投票したとしても、世の中は変わらない。変化は起きない。そう思っていました。

しかし、本をきっかけに、政治について考えるようになったんです。大きな変化でしたね。

世の中で起きている問題を解決するためには、法整備を行い、制度やシステムを整えていくことが必要です。複雑に絡み合う問題解決のためには、政治は避けて通れないものだと気付きました。

そんな時に出会ったのが「松下政経塾」でした。パナソニックの創業者である松下幸之助翁が設立された全寮制の私塾です。(期間は最大4年間)

「真のリーダーを育成する」という方針の元、さまざまな分野で活躍するリーダー(政治家、企業経営者、社会起業家、研究者など)を数多く輩出しています。

「政治と経営」を学ぼうと、入社5年目で銀行を辞める決意を固め、37期生として松下政経塾に入塾しました。迷いはありませんでしたね。

海外の政治教育・主権者教育の事例について書かれた記事も下記リンクから読むことができます。

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世界に飛び出す-国連・ラオスでの経験ー

ー松下政経塾ではどのような経験をされたのですか?

福井:本当に多くのことを学ばせていただきました。

松下政経塾の特徴は、決まったカリキュラムや、常駐の講師がいないという点です。

「自修自得」の精神の元、自分でテーマと現場を決めて、活動していくことが求められます。

私のテーマは中学の時から「女性」と「貧困」だったので、そのテーマを中心に様々な研修に参加させていただきました。

特に国連での経験が思い出ですね。国連には、国連女性の地位委員会(CSW)という委員会があり、年次会合が毎年2~3月頃に2週間の期間で開催されています。

私は2017年にCSW61:テーマ「変わりゆく仕事の世界における女性の経済的エンパワーメント」に参加させていただきました。

世界中から女性問題に関わる方たち(政府関係者、NGO、企業など)が一同に会し、圧巻でした。世界でどのような問題が起きており、各国の方たちがどのようなマインドを持って行動しているのかが体感できました。

他には、日本においてはかものはしプロジェクトジョイセフアショカ・ジャパンで社会人インターンをさせていただき、多くのことを学びました。

その後、Support for Woman’s Happiness(SWH)の代表である石原と出会い、ラオスを中心に活動することになりました。

ーSWHではどのような活動をされたのですか?

福井:Support for Woman’s Happiness(SWH)は、様々な困難に直面する世界の女性が、自信をもって自分らしく活き活きと暮らせるようサポートするNPO団体です。

2017年にラオスの障がい者女性、少数民族女性をサポートするところから活動が始まりました。

ラオスの首都ビエンチャンに障がい作業所ソンパオを設立し、今では主に手足に障がいのある25名が働き暮らす施設となっています。

SWHで独自のブランド・フランムアンを立ち上げ、少数民族の生地を使ったクオリティの高い製品づくりを指導しながら、日系企業から手まり・ノベルティ等の受注を行っています。

私がSWHに事務局長として参画した当時は、作業所もない、人もいない、本当に0からのスタートでした。ラオス語も英語も上手に話せない中、身振り手振りだけでなんとか作って欲しい製品の指導をしていました。

教えていたのは、布ナプキン、ポーチなどの布製品のほか、手毬アクセサリー、石鹸やボディーオイルなど多岐にわたります。

当時は初めてのことだらけで無我夢中でやっていましたが、ラオスの女の子達の前向きさに私の方が逆に励まされていました。

教育の世界に飛び込むー マインドセットの大切さー

ーKatsuiku Academyに参画されたのはなぜですか?

福井:約2年間ラオスと日本を行き来して、SWHの活動をしてきました。この現場での活動を通して本当に多くのことを学びました。

その1つが「教育・マインドセット」の大切さです。

障がい作業所ソンパオにいる女の子達の多くが、今まで十分な教育を受けることができていませんでした。

そのため、彼女たちは長期的な目線でキャリア形成を考えるということがとても苦手だったのです。

目先にある事柄だけではなく、「将来どのようなことをやってみたいか、そのために自分は今どのようなことを学ぶ必要があるか?」ということを考える力がとても大切だと気付きました。

そのようなマインドセットで生きるためには、小さい頃から自分の本当に好きなことやイキイキを追及し、探究したり、関係のある分野の人達と交流したり、知識を増やしたりするなどが大切です。

このようなマインドセットを持つことで、自身の置かれた境遇に関係なく、力強く人生を歩んでいけるのではないかと感じるようになりました。

日本に戻った後にKatsuiku Academyの存在を知り、中高生向けのキャンプではまさにこのようなマインドセットを醸成する取り組みをしていたので、参画しました。

今後はこのようなマインドセットを持ち、イキイキと力強く自身の人生を歩んでいく方たちのサポートをしていきたいと思っています。

Katsuiku Academyが大切にしているマインドセット等に関わる記事については下記を確認ください。

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Katsuiku Academy スタッフ インタビュー②【福井里佳】 ーKatsuiku Academyでは現在どのようなことに取り組んでいますか? 福井:現.....

ー最後に中高生の方に向けて一言お願いいたします。

福井:私が大きな刺激を受けたのは中学の時の総合学習の時間でした。

だからこそ、今まで自分が気になっていることや、少しでも興味関心があるものに関しては、少し深堀してリサーチしてみて欲しいなと思います。

調べていくと色々な事実が分かってきて、自身の知識が広がっていくだけではなく、将来こんなことをやってみたいな、など将来像を思い描くことにも繋がっていきます。

未来は無限の可能性があります。どんなことにでも是非、果敢に挑戦してみてくださいね。

自分の気になっていることを追及する原動力になる好奇心に関して気になる方は下記の記事をご確認ください。

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Katsuiku Academy スタッフ インタビュー②【福井里佳】 ーKatsuiku Academyでは現在どのようなことに取り組んでいますか? 福井:現.....